わかまちヒストリー

NPO法人わかもののまちが、立ち上がる2015年から2017年までの遍歴です。

わかもののまち静岡が立ち上がるまで

人口減少に突入する地方では、まちの担い手不足や地域コミュニティの希薄化が大きな課題となっています。消滅可能性都市という言葉があるように、存続を危ぶまれる地域も出てきており、持続的な都市経営の必要性が高まっています。

静岡の人口減少がやばい

私たちの活動する静岡県も、2014年の人口動態の調査によれば、前年比2万人減で、北海道に次ぐ全国第2位の人口減少率でした。

こうした背景から、未来の静岡に危機感を持ち、静岡市内で活動していた若者団体(ボランティア団体、地域活動団体など)の代表者、個人(高校生、大学生)が集まり、2015年6月に「わかもののまち静岡 実行委員会」を立ち上げました。

この実行委員会では、「静岡市地方創生総合戦略に若者参画政策を盛り込むこと」を目標に、それぞれが活動していた中で若者が地域で活躍するために必要だと感じた施策や、国内・国外(主にEU諸国)の若者参加に関する先進事例を研究し、わかもののまち静岡提言書(案)をつくりました。

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提言書(案)には、市内に在住・在学・在勤の若者(13~25歳)から賛同書を集め、それと同時に「どんなまちだったら住みたいと思うか?」の意見をもらいました。

結果的に約2000名分の賛同書を集めることができ、それらを踏まえて提言内容も見直していきました。

また、提言書の内容は、市内の研究者(大学教員)や、一般市民向けのワークショップなどを行うことで、すべての世代でつくる「わかもののまち」を目指しました。

アドバイスをいただいた皆さん

  • 鬼頭 宏(静岡県立大学 学長/歴史人口学)
  • 日詰 一幸(静岡大学人文社会学部 教授/行政学)
  • 原田 唯司(静岡大学教育学部 教授/教育学)
  • 津富 宏(静岡県立大学国際関係学部 教授/青少年支援、社会参加)

静岡市長に直接提言!

こうした過程を経て、多くの人の思いがつまった提言書を2015年8月に静岡市長に提出しました。

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市長からは、「異議申し立てができるのが若者の特権。言った以上は責任を持て。自分たちでこの提言内容を実現するくらいのパワーがほしい。」とコメントをいただきました。
この市長面談には、メディア関係者が多く同席し、静岡新聞、朝日新聞、中日新聞、SBSテレ
ビ、静岡あさひテレビ、静岡第一テレビ、テレビ静岡などで、市長提言の様子が広く報じられました。

提言内容が政策に盛り込まれる。

市長から厳しいコメントはあったものの、その後、静岡市総合戦略の重点事業に『「わかもののまち」推進事業』が盛り込まれることになりました。総合戦略の中では、「わかもののまち静岡提言書を踏まえ、…」と記述されている。(静岡市地方創生総合戦略リンク)

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静岡市地方創生総合戦略 重点事業②「わかもののまち」推進事業

「市内大学生を中心とした自主的な地域活動や社会貢献活動が盛んである本市 の特徴を活かし、若者が住んでみたい、住み続けたいと思うまちづくりを進める。

平成 27 年度に提言された「わかもののまち静岡」提言書を踏まえ、大学生や 中高生などの若者による自主的な地域活動等への支援や、まちづくりへ若者の参 画を充実するための方策を検討し、必要に応じて実施する。

また、本市に愛着を持ち、地域社会を担う人材の育成を行うとともに、「わか もののまち」に向けた取組を、首都圏、中京圏等の中高生、大学生などに情報発 信し、多くの若者の市内定着を図る。」(静岡市総合戦略 p38)

実行委員会から団体化へ。

その後、持続的に若者が地域で活躍できる環境づくりが必要だと考え、UNICEFの子どもと若者に優しいまち(Child and Youth Friendly City)や、スウェーデンの若者のアンブレラ組織であるLSUなどにヒントを得て、静岡県を世界で一番若者に優しいまちをすることを目指し、2015年12月より「わかもののまち静岡」は団体として活動を始めることになりました。

同じ時期から焼津市に活動が波及。

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わかもののまち焼津のキックオフイベントの様子(2015年7月)

静岡市へ提言活動をしていたのと同じ時期に静岡市の隣の焼津市でも「わかもののまち焼津」の活動が始まりました。

同年7月には、キックオフシンポジウムを実施し、中学・高校生、大学生から、お父さんお母さん世代、80代のおばあちゃんまで、幅広い方が参加をしてくださりました。

対話型のワークショップ形式で「焼津が”わかもののまち”になったらどんなまちになるか?」をテーマに考えました。

焼津駅前に若者の秘密基地

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7月に開催したキックオフイベントの中で「若者が集まれる場所がほしい」という意見がたくさんあげられました。

そうした意見を受けて、焼津市が前々から検討していた「若者の秘密基地」が焼津駅前にできるこになりました。

しかし、自分たち(焼津の若者たち)がつくった場所でなければ、秘密基地と呼ぶことはできません

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そこで、どんな秘密基地をつくればいいのか、そこで何ができるようにするのか、どんなものを置くのか、開館時間、開館日はどうするのかなどなど、この場所をどんな風に使うかを考える「設置準備会議」をはじめることになりました。

2016年3月に設置準備会議のキックオフイベントを開催し、市内の中学生・高校生・大学生などが集まってくれました。実際に基地を使って映画会をしてみたりして、約1年かけて議論をしました。

1160人の若者へのアンケート調査の結果から、この場所は“若者ぷらっとフォーム やいぱる”と名付けられることになりました。そしてついに2017年2月にオープンすることに決まりました。